使用人が役員となつた場合において、退職給与規程に基づき役員に対してその役員となつた時に使用人であつた期間に係る退職給与として計算される金額を支給したときは、その支給した金額は、退職給与としてその支給をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができます。
この規定も実際に支給することが要件ですから、未払い計上は認められません。
ただし、既に使用人から役員になっている者に対しても、新たに退職給与規程を制定し又は従来の退職給与規程を改正して使用人から役員となつた者に対して退職給与を支給することとした場合において、その支給が次のいずれにも該当するものについては、損金算入が可能です。
● その制定等の時にすでに使用人から役員になつている者の全員に対してそれぞれの使用人であつた期間に係る退職給与として計算される金額をその制定等の時に支給していること
● 損金の額に算入していること
● これらの者に対し使用人であつた期間に係る退職給与の支給をしたことがないこと
● 支給した退職給与の額が、その役員が役員となつた直前に受けていた給与の額を基礎とし、その後のベースアップの状況等を参酌して計算されるその退職給与の額として相当な額であること
又、 使用人兼務役員が役員となつた場合にその使用人兼務役員であつた期間に係る退職給与として支給した金額があるときは、たとえその額がその使用人としての職務に対する退職給与の額として計算されているときであつても、その支給した金額は役員賞与とされ、損金とはなりませんので注意してください。